コロナ融資とかでセーフティネット保証の4号がどうだとかっていう話をしたのはわかってるんですが、そもそもセーフティネット保証って何だ?という話になり・・・。改めてわかりやすく教えてもらえますか?
例えば、取引先が倒産して連鎖倒産しそうでヤバい時や台風や地震の影響でヤバい時、取引銀行が破綻してヤバい時などです。
実は、セーフティネット保証って1号〜8号まであるんですよ。
1号 | 大型倒産(再生手続き開始申立等)の発生により影響を受けている中小企業者 |
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2号 | 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により影響を受けている中小企業者 |
3号 | 突発的災害(事故等)により影響を受けている特定地域の特定業種を営む中小企業者 |
4号 | 突発的災害(自然災害)により影響を受けている特定地域の中小企業者 |
5号 | 全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業者 |
6号 | 金融機関の破綻により資金繰りが悪化している中小企業者 |
7号 | 金融機関の相当程度の経営の合理化(支店の削減等)に伴い借り入れが減少している中小企業者 |
8号 | RCC(整理回収機構)に貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、再生可能性があると判断される者 |
1号:連鎖倒産の防止のための措置です。
指定事業者リストに掲載されている企業に対して50万円以上売掛金債権等を有している中小企業者、もしくは、当該事業者に対し50万円未満の売掛金債権等しか有していないが、当該事業者との取引規模が20%以上である中小企業者が対象。
2号:指定案件(生産量の縮小、販売量の縮小、店舗の閉鎖などの事業活動の制限を行っている事業者)と直接・間接的に取引を行っていること等により、売上等が減少している中小企業者を支援するための措置です。
2024年10月現在では、ALPS処理水(原発処理水)の海洋放出の影響で輸出先の国での輸入規制措置等の影響がある会社やダイハツの型式指定申請における不正行為に伴って生産活動の制限をしている影響を受けている会社が対象となっています。
細かい対象者の要件はこちらの記載の通りなので気になる方は下記をお読みください。
- 当該事業者と直接取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上※の見込みである中小企業者
- 当該事業者と間接的な取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上※の見込みである中小企業者
- 当該事業者の近隣に事業所を有しており、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上※の見込みである中小企業者
※平成14年3月より、マイナス10%以上に緩和中です。
3号:突発的災害(事故等)の発生に起因して売上高が減少している中小企業者を支援するための措置。
地域と業種が指定される。当該地域内の中小企業者であって、売上等が減少している中小企業者が対象。
3号って私もこれまでに実際の例を見たことないんですが、調べてみると、O-157(1996年)/ナホトカ号重油流出事故(1997)/有明海の海苔の不作(2001)などによる適用事例がこれまでにあったようです。
4号:突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。
実際、コロナだけでなく地震や台風など様々な自然災害が毎年発生しており、その度に指定されています。
直近では、9月の能登半島の豪雨や1月の能登半島地震はもちろんですし、今年の台風10号による被害で神奈川、岐阜、静岡の一部地域が指定されています。のろのろと九州を縦断した台風でしたが広範囲に被害を出しましたよね。
私もちょうど鹿児島の顧問先への出張と重なり、台風で日程変更したのでよく覚えています。
中小企業庁のサイトで指定案件が随時更新されているのでチェックしてみてください。
5号:業況の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置です。
先ほどの4号は地域の指定なんですが、5号は業況が悪化している業種ということで業種別での指定になります。
コロナ融資では最終的には全業種が指定されたんですが、最初は全業種ではなかったんですよね。
ちなみに、四半期毎に不況業種が指定されます。
6号:破綻金融機関と金融取引を行っていたことにより、借入の減少等が生じている中小企業者を支援するための措置です。
直近の例では、平成15年、2003年の足利銀行の破綻、一時国有化がありますね。このときにセーフティネット保証6号が適用されています。それと平成22年2010年の日本振興銀行の破綻の時にも適用されています。
戦後初の「ペイオフ」発動ということでも話題になりました。ペイオフとは預金1000万円とその利子までが保護されて1,000万円を超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われるという制度ですね。
半年に一度「指定金融機関リスト」が公表されるので、そのリストに掲載されている金融機関と取引している会社が対象ですね。
8号:RCC(整理回収機構)へ貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、事業の再生が可能な者を支援するための措置ですが、今は整理回収機構へ債権譲渡されるケースというのはほぼ聞かないので、まぁ8号については特に解説なしでOKかと思います。
あとは大企業と取引している会社の場合はその大口の取引先である大企業が潰れたり、生産縮小などのリストラ策が取られたときには1号や2号も活用されたりという感じでしょうか。なので1、2、4、5あたりですかね。
あと、一応知っておいていただきたいのは、保証割合ですかね。
信用保証協会の保証割合って原則8割なんですが、セーフティネット保証の一部は100%保証です。
100%保証となるのは1、2、3、4、6号です。5号と7、8号は8割保証になります。